秋田銀行本店

秋田銀行本店本館(現赤レンガ郷土館) – 赤白の対比が美しい

秋田には近代建築は少ないが、千秋公園の近くに二人の設計者が共同して設計した赤レンガ郷土館というレトロな建物が建っている。もとは秋田銀行の本店本館の建物で、建物は重要文化財に指定されている。

秋田銀行本店本館の建物について

秋田銀行本店本館の建物は、明治42年に着工したが、この辺りは川に近くで軟弱な地盤であったため、耐震の基礎工事に時間がかかり、完成したのは3年後の明治45年になってからである。
設計は外部は山口直昭、内部は星野男三郎と二人の設計者の共同作業となっている。そのため、建物の外部はルネサンス様式、内部はバロック様式と設計様式が異なる珍しい建物となっている。
建物の構造はレンガ造り2階建て、土台は男鹿石の石積み。1階が白い磁器タイル、2階が赤い化粧レンガ仕上げとなっており、白と赤のコントラストが美しい。中央がやや張り出し、両脇に円形タワーを配し左右対称の建物となってる。棟飾りやドーマー窓も飾られ豪華な建物である。
屋根は宮城県産の玄昌石の天然スレート葺となっている。天然スレート葺とは玄昌石を薄く板状に加工して屋根材として使用するもので明治時代の後半から大正時代にかけて洋風建築に採用された。しかし、高価になることから採用されたのは少なく非常に貴重なものである。

旧秋田銀行本店付近の地図

住 所: 秋田県秋田市大町3-3-21
秋田市立赤れんが郷土館のある大町地区は、江戸時代は城下町の外町に当たるところで、奥州街道が通り、商業の町として栄えた場所である。現在も町の中心地である。
秋田市立赤れんが郷土館は秋田駅から歩いていけないことはないが、バスを利用する場合は中央交通バスに乗り「交通公社前」で下車。徒歩1分の距離にある。

 秋田銀行について

秋田銀行は名前の通り、秋田市に本店を置く銀行。創設は少し複雑である。
秋田銀行の母体の一つは明治12年に設立された第四十八国立銀行である。明治22年に普通銀行に転換し、名称から国立の文字が削除されている。(銀行業務を開始した一番古い歴史。)
一方、秋田地方には第一国立銀行の秋田支店があったが、この秋田支店が廃止されることになり、明治29年に秋田銀行(旧秋田銀行)の名称の銀行が設立されている。この時が秋田銀行の創立年とされている。
この秋田銀行本店本館の建物はこの時代の秋田銀行のものである。
昭和16年に第四十八銀行、秋田銀行、それに湯沢銀行の3行が合併して、現在の秋田銀行が生まれている。この年が公式の設立年である。